生きるための論語 (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル生きるための論語 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者安冨 歩
販売元筑摩書房
JANコード9784480066589
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

儒教のプロテスタントとも言うべき本。
儒教は形式的で保守的と受け取られてきたが、この本では「人は絶えず変化すべし。学習すべし。それが生きるということだ」という新しい教義を仮説として、数多くの原典を引用しつつ、旧来の解釈と対比して例証している。
驚いたことに、スジが通っている。
また納得感もある。儒教も最初は「新興宗教」であり、創始者は魅力的なカリスマだったはず。孔子の魅力を感じさせてくれるからだ。
惜しいのは唯一、題名が本の面白さを伝えていないこと。この本に感銘を受ける人は、実際買った人の100倍はいるはず。

『原発危機と「東大話法」』の著者がもともと論語の研究者であることを知り、深い興味の下、一気に読んだ。期待に違わず、著者は過去の古臭い解釈を切り捨て、孔子と弟子たちとの活き活きとした知の書としての論語を蘇らせている。これまでの自分の「常識」が見事崩れ去ったが、むしろそのことに知的な興奮すら覚えてしまった。

本書のキーポイントは、孔子の教えの本質が「フィードバックと学習」にあり、教条化とは正反対のものである、という「発見」である。このことにより、仁・忠・恕・道・義・和・礼という、論語の基本概念に生命が吹き込まれ、論語の一句一句が、現代も十分通用する「生き方の書」として蘇る。その根本は、「知と不知との違いを知り、それを次に活かすことが本当の知である」といった、知をダイナミックな過程として捉える柔軟な考え方である。

著者は、日本の閉塞状況の原因は、「ダイナミックな知」が失われていることにある、と断罪する。「東大話法」はその典型例にすぎず、政治、役所、会社、マスコミ、学校、・・・など日本のあらゆる場所で、「東大話法」の変型が跋扈しているのである。

著者は論語の本質を今に活かしているのは、論語学者ではなく、サイバネティクスのウィーナーや経営論のドラッカー、あるいはインドの非暴力主義者ガンジーなどである、と指摘している。このことは、まず自分の身の回りの組織や家族、仲間たちとのコミュニケーションの中から、論語に学んだ生き方が可能かもしれないという希望を持たせてくれる。

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