8・15と3・11―戦後史の死角 (NHK出版新書 388) の感想

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タイトル8・15と3・11―戦後史の死角 (NHK出版新書 388)
発売日販売日未定
製作者笠井 潔
販売元NHK出版
JANコード9784140883884
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

 戦後というのがなんだったのか。そのことを考えるとすれば、笠井の指摘はいろいろ納得する。
 戦前の、空気に支配された状態が、たくさんの悲劇をうみだし、戦後も空気に流されるように、敗戦ということが忘れられて終戦になり、天皇制が残る。広島と長崎に落とされた原爆の責任を米国に問うことなく、原子力の平和利用の名の下に、原発が推進されていく。
 空気が支配する無責任体制は戦前も戦後も変わっていない。おおざっぱに言えば、そういった指摘がなされている。
 そして、そういった状況で忘れられたことに対する、戦没者の怒りがゴジラだったという。
 けれども、東日本大震災がゴジラだったという指摘は、少し違うのではないか。地震は人の営みとは無関係に起こる。何のメタファでもない。
 確かに、原発事故の背景には、かつての軍部と同じ無責任な空気が、原子力ムラにあったことは確かだろう。だが、原発事故を第二の敗戦ととらえることは、やはり無理があると思う。結局、敗戦ではなく終戦になることでさまざまなものが忘れられていった、そのことが照らす原発事故、という一面のことでしかない。
 本当に、戦後論ということでは、あらためて笠井が指摘することは重要だとは思う。けれど、東日本大震災と原発事故を論じるには不十分なのだと思う。

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NHK出版から発売された笠井 潔の8・15と3・11―戦後史の死角 (NHK出版新書 388)(JAN:9784140883884)の感想と評価
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