歴史REAL巨大古墳と古代天皇陵の謎 (洋泉社MOOK 歴史REAL) の感想

古墳の本。ムック本サイズで、写真や図が多く掲載されている。127ページ中96ページまでがカラー印刷。以下の3部構成となっている。

PART1 Q&Aでスッキリわかる古墳入門
PART2 最新研究でわかる古代天皇陵の真実
PART3 〈地方別〉巨大古墳と地方王権を考える

意図がはっきりした構成になっている。PART1では、古墳とは何か？古墳時代とはいつのことか？古墳の種類・形式にはどんな種類のものがある？といった比較的一般的と思われる18の質問から古墳についての基礎知識が得られるようになっている。

PART2は、天皇陵についての論争に的を絞っており、論争になる点や、状況証拠から推測される仮説、日本の王家の谷ともいえる磯長谷の説明に加え、今年2014年2月に実現した天武・持統合葬陵立ち入り調査の様子が4ページにわたってレポートされている。

PART3では、毛野（群馬・栃木県）、越（福井・石川県）、尾張（愛知県）、丹後（京都府）、吉備（岡山県）、出雲（島根県）、筑紫（福岡県）、日向（宮崎県）といった各地の古墳とその特徴について紹介している。大和王権との関係や影響だけでなく、各地で独自の王国が古墳づくりを展開していた可能性についてももっと考えるべきであるという主張も控えめに行われている。

白黒ページとしては、古写真の天皇陵の様子、江戸時代の研究、近畿地方で発達した埴輪文化が古墳時代後期に地方に拡がって各地で特色のある埴輪文化が形成されたこと、キトラ古墳シンポジウムの様子、東京古墳めぐり、全国古墳及びミュージアムマップがある。