逆にしたらよくわかる教育勅語 -ほんとうは危険思想なんかじゃなかった の感想

著者が書いているように、今まで教育勅語を読んだことが無く、”なんとなく”自分から遠ざけていました。
初めて、読んで、これの何がいけないのか、まったく常識的なことを書いているだけだと認識しました。

「教育勅語」関連の本は、”なんとなく”イデオロギーの匂いがして、読むのに・買うのに躊躇している方（私もそうでした）は、ぜひこの本を読んでください。

私は、ほぼすべて著者の意見に納得しました。
ひとつだけ、考えさせられたのは、「教育に国家が関与すべきではない」という著者の意見です。
同時並行して読んでいた『サッチャー改革に学ぶ教育正常化への道』から感じたことは、ゆがみ切った教育を是正するには国家の強力な指導力も必要であるということです。
すでに古本の部類に入っているかもしれませんので、入手が困難かもしれませんが、ぜひお勧めした一冊です。

あるモノゴト（文章）を殆ど知りもしないのに、恐れ嫌ったり、逆に無闇に神格化して奉ったりは、知的怠慢である。

昭和４０年代、中学生だった私は、あるとき友人宅で戦前の本に教育勅語が出ているのをみつけて興味をもち、借用してノートに書き写してみた。
簡単な文章である。　２-３回、書いているうちに全部諳んじてしまったが、ルビを振っていない本だったので「義勇公ニ奉シ」の公を「おおやけ」、「業を習い」の業を「わざ」と、勝手に訓読みしていたところが、今回、本書を読んで３-４ヶ所あるのがわかったが、意味を取り違えていたわけではない。

本書を一読して、教育勅語ってこんな単純な徳目だったの？と、拍子抜けした人が多かったのではなかろうか。
民族、宗教、時代が違っても、おそらく過去１０００年の地球人類の８０~９０％にとって、あたりまえのことが、あたりまえに書いてあるに過ぎない。
まさに、「之ヲ古今ニ通シテ謬ラス　之ヲ中外ニ施シテ悖ラス」である。
一体、GHQは何が恐ろしくて教育勅語を禁止したのか？　アメリカ人は、きっと日本人の道徳性の高さに怯えたのだろう。

思いついてyou tubeの朗読を幾つか視聴してみたが、あまり上手い朗読は見当たらなかった。　これは、アメリカナイズされた現代日本人にとって、どこかピンとこない（現実離れした）ところがあるからだろう。　　　ただ、リズムのよい文章であるし、音読すると気持ちがいい。

音読と書写を、お勧めする次第である。

昭和一桁生まれの私は子供のころ学校で行事がある度に校長先生が教育勅語を朗読し、我々も全部暗記していた、親や年長者を大切に、夫婦仲良く、兄弟や友達を信頼し、体を大切にして人生を頑張って生きよ、と本当に良いことを云っているのに、なぜ今の学校で教えないのか、左よりの先生たちが強引に隠してしまっているような気がしてたまらない、どこに危険思想ががあるのか不思議でたまらないでいたところ、この本に出会い、わが意を得たりという思いでいっぱいです、この本をひとりでも多くの人に読んでもらいたいものです。

「タテマエが崩壊した社会」つまり現代の日本を余すところなく描写している。
活字配列も読みやすく工夫しているので読書好き高校生でも読めると思う。
著者の大学院進学時のことをさりげなく書いている部分がおすすめ。ｐ137-141
「評論家」宮台真司についての記述は笑える。

（宮台は言葉遊びに走るがまだ「社会学者」の体をなしている。古市はただの○○。）

倉山先生の生活を安定させるべくおもしろいと思ったら新刊書店で購入して印税収入に協力すべし。