歴史のくずかご とっておき百話 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル歴史のくずかご とっておき百話 (文春文庫)
発売日2014-08-06
製作者半藤 一利
販売元文藝春秋
JANコード9784167901721
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » は行の著者

購入者の感想

本書のコンセプトや趣旨を手短に纏めるのは些か難しい。このページの上の「商品の説明」には、「歴史のよもやま話がてんこもり……歴史上の人物に思いを馳せつつ……睦月から師走まで季節にあわせた歴史のよもやま話が100話」等と紹介が見えるが、人物や歴史的出来事、地理・地名に関するトピックなど、著者の博識に基づく幅の広い話題が展開されている。正面から政治・思想的話題を取り上げるものは少ないが、昭和一桁生まれと言うことでWW2(歴史観・思想)に関するものなどが幾つか散見される(43番、55番、80番、87番など)。私見から言えば、幾つか私の信条とは整合しない歴史観や政治的信条等もある。本書は歴史・政治学を語る趣旨ではないと思われるが、1点だけ取り上げて後述することにしたい。本書の構成・内容は、1月(睦月)から12月(師走)まで、季節に合わせた(契機・切り口とする)トピックが各月毎に概ね7〜8話、「おまけ」に「精神はどこの巻」として季節に関連のないトピックが7話ほどからなる。各トピックは睦月から順に連番が付されており、前記の著者の政治・歴史観のトピック例として挙げたものがこれを意味する。全体の傾向としては、和歌や俳句を端緒として歴史的話題を(実証的に)展開、1トピック当たり見開き2頁で統一されている。

著者の政治的姿勢・信条・歴史観は措くとして、個人的に著者の博識ないし探求心には感心させられるトピックが多い。鴎外著の『安部一族』と(モデルとなった)実話における「武士道」の実像(8番)など視点が鋭く、他方『平家物語』でも有名な「那須の与一」の名場面の描写の矛盾(9番)などは実にきめ細かい観察である。しかも右矛盾の指摘は、著者の中学生時代ということにも感心する。興味のある方は与一が扇の的を射るシーンの前後の描写に充分に注意し、できれば原文で読んでみると良いだろう(『平家物語』巻第十一の四「扇的」ーー特に後半からの情景描写に要注意)。また同様の源平物では『義経記』での義経の人となり(“愛 人”連れでの京都落ち)の著者の論評が、妙に人間臭くて面白い(11番)。また明治の文豪、夏目漱石や樋口一葉らの作品に観る、「悪

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