放送禁止歌 (知恵の森文庫) の感想
参照データ
タイトル | 放送禁止歌 (知恵の森文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 森 達也 |
販売元 | 知恵の森 |
JANコード | 9784334782252 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 文学・評論 » 文芸作品 |
購入者の感想
単行本は解放出版社から出されているように、主に部落問題との関連が詳しく説明されています。その段階で「竹田の子守唄」だけでなく、「五っ木の子守唄」さえも自粛の対象となっているとは驚きました。民放連とか放送局各局だけでなく、部落解放同盟の方々にもインタビューをして、事実を確認して行く著者の姿勢は見事ですが、禁止歌全体に関しては、様々な障害はあったと察せられますけれども、もっと徹底していけなかったものかと残念な気がします。なんにしても、取り上げた禁止歌の歌詞を掲載してくれているのは、よい試みで具体的に著者の説明箇所がよくわかります。なによりも、読者にとってはそれ等の歌に触れることの出来る資料的な要素も得られるのが収穫です。
以前、「放送禁止歌」と題したドキュメント番組が放送された。「放送禁止歌」を他ならぬTVで「放送」するという試みに惹かれて、深夜の放送にもかかわらずチャンネルを合わせたのだが、TV界の「規制」に対する真摯な問いかけが非常に印象的だった。そしてこの番組が本になったと聞き、早速購入した。それが本書である。本書では、番組では語り尽くせなかった内容を、より深く掘り下げている。歌を「規制」するものの正体、そして規制された「歌」の本当の姿が描き出されている。TVを見た人にとってだけでなく、独立した書物として読んでも非常に興味深い。メディアに関わるすべての人が、すなわちメディアから情報を受け取る私たちも含めて、「差別」や「規制」について考えるにあたって、読む価値の!ある本だ。