死刑 (角川文庫) の感想
参照データ
タイトル | 死刑 (角川文庫) |
発売日 | 2013-05-25 |
製作者 | 森 達也 |
販売元 | 角川書店 |
JANコード | 9784041008812 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
死刑制度を題材に,死刑囚や被害者の遺族らへの取材を積み重ねて書かれたルポルタージュ。2008年に朝日出版社から出た単行本に,光市母子殺害事件の受刑者との対話を書き下ろしたほか,単行本出版後の情報などを加筆して文庫化したものである。表紙の装画は会田誠。
死刑制度の存廃についての意見は以前からあって,言葉の上では賛否の理由をきれいに整理できる。だが,これだけでは死刑を理解したことにはならない。本質をつかむためには,当事者の話を聞くなどして,死刑そのものに接近することが必要だ。これが本書の出発点である。取材では,死刑制度も死刑囚も,世の中から隠されているという現実が明らかにされる。
最終的に,著者は,死刑を廃止すべきとの確信に至る。だがその当否は別にしても,ちょっと唐突ではないかという印象は拭えない。この主張に対しては,たとえば次のような疑問を提起できるだろう。
・人を殺したくないと思うことは「本能であり,摂理でもある」(p.326)というのが廃止の理由だが,これは以前から言われてきた「人道主義の立場からの死刑廃止」とどう違うのか。著者の主張にオリジナリティを見出すことができるのか。
・上記の理由で廃止を主張するのであれば,仮に犯罪予防に役立つのだとしても,やはり死刑を用いるべきではないと考えるのが自然である。本当にそれで良いのか。
第5章の終盤(p.259)あたりから,著者の関心は,「死刑は正しいのか」という問題から「どうすれば死刑廃止の正しさを分からせることができるのか」に移っているように見える。要するに,理屈で言っても通じないから「情緒」に訴えて考えを改めさせようとしているのだが,これはむしろ議論のレベルを下げているのではないだろうか。
ただ,"専門用語を中途半端に用いて読者を混乱させる"
死刑制度の存廃についての意見は以前からあって,言葉の上では賛否の理由をきれいに整理できる。だが,これだけでは死刑を理解したことにはならない。本質をつかむためには,当事者の話を聞くなどして,死刑そのものに接近することが必要だ。これが本書の出発点である。取材では,死刑制度も死刑囚も,世の中から隠されているという現実が明らかにされる。
最終的に,著者は,死刑を廃止すべきとの確信に至る。だがその当否は別にしても,ちょっと唐突ではないかという印象は拭えない。この主張に対しては,たとえば次のような疑問を提起できるだろう。
・人を殺したくないと思うことは「本能であり,摂理でもある」(p.326)というのが廃止の理由だが,これは以前から言われてきた「人道主義の立場からの死刑廃止」とどう違うのか。著者の主張にオリジナリティを見出すことができるのか。
・上記の理由で廃止を主張するのであれば,仮に犯罪予防に役立つのだとしても,やはり死刑を用いるべきではないと考えるのが自然である。本当にそれで良いのか。
第5章の終盤(p.259)あたりから,著者の関心は,「死刑は正しいのか」という問題から「どうすれば死刑廃止の正しさを分からせることができるのか」に移っているように見える。要するに,理屈で言っても通じないから「情緒」に訴えて考えを改めさせようとしているのだが,これはむしろ議論のレベルを下げているのではないだろうか。
ただ,"専門用語を中途半端に用いて読者を混乱させる"
結論ありき。
てっきり公平な目で死刑を考える本なのかな、と思ったのだが、、。
優しく誠実な文章の中でさり気なく死刑肯定論者を悪として書いている。
私だって殺人犯を許せない、のことばが虚しく響く。
死刑肯定論者が、遺族感情や被害者の痛みを、と言うなら天涯孤独な被害者なら罪は軽くなるのか?
いや、なってないし。
そういう基準じゃないから。
人は誰でも変わる事ができる
↑
もうおめでたすぎてなんと言えばいいのか。
無責任すぎて呆れてしまう。
てっきり公平な目で死刑を考える本なのかな、と思ったのだが、、。
優しく誠実な文章の中でさり気なく死刑肯定論者を悪として書いている。
私だって殺人犯を許せない、のことばが虚しく響く。
死刑肯定論者が、遺族感情や被害者の痛みを、と言うなら天涯孤独な被害者なら罪は軽くなるのか?
いや、なってないし。
そういう基準じゃないから。
人は誰でも変わる事ができる
↑
もうおめでたすぎてなんと言えばいいのか。
無責任すぎて呆れてしまう。
結論がないと書かれている人は、おそらく本を読んでいないのでしょう。
著者は、最終的には死刑囚を誰であろうと殺したくはないとはっきり述べています。
しかし、死刑制度反対を訴える本という訳ではなく、あくまで中立の立場で、元死刑囚、被害者遺族、元刑務官、弁護士などとのインタビューを中心に構成されています。
著者は、最終的には死刑囚を誰であろうと殺したくはないとはっきり述べています。
しかし、死刑制度反対を訴える本という訳ではなく、あくまで中立の立場で、元死刑囚、被害者遺族、元刑務官、弁護士などとのインタビューを中心に構成されています。