クトゥルフ少女戦隊 第一部 (The Cthulhu Mythos Files) の感想

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参照データ

タイトルクトゥルフ少女戦隊 第一部 (The Cthulhu Mythos Files)
発売日販売日未定
製作者山田正紀
販売元創土社
JANコード9784798830193
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » SF・ホラー・ファンタジー

購入者の感想

いかに「萌え」を屁理屈づけたところでまるで萌えない表紙イラストで一目瞭然な、メンヘラ・ビッチ・ババア起源の売れないアニメの美少女戦士がゴキブリの未来の為に戦う愉快なバカ話
今巻に関して言えばクトウルー要素はサシミのツマ程度(二重螺旋の悪魔ぐらい)。
相変わらずのゲスでクズいゴミ野郎がいかに歩く粗大ゴミであるかをねっちり描く筆致は健在で、わかったようなわからない薀蓄満載の文章も快調、特に「何であたしらがこんなナリで戦わなきゃならんわけ?」という、今の世のラノベならば「仕様です」の一言で済ませてしまう言うてはならん疑問を嘘八百の限りを尽くして理屈づけるあたりは「読んでてよかった」と思わせること必定、金出す価値は充分にあります。

問題なのはこのお話が続きモノであることで。
既読読者の方ならばよくご存知でしょうが、この方の続き物は、

・話を広げすぎて風呂敷を上手くたためず色々とっちらかったまま丸投げ
・書いてるうちに興味が明後日の方へ向かってしまい、当初のコンセプトとは似ても似つかぬところへお話が着地してしまう(言うなれば、フルコースを喰ってるつもりがメインディッシュがカツ丼。旨かったけど何か違う、な感じ)
・そもそも続きが出ない

の三つのうちのどれか(特に三番目)になる可能性が大変高いのでございます。今回は二分冊だから確率として低いのでしょうが、何でああも巻末で「今回ばかりは絶対出ます」を連呼するのか、に関して首をひねった方はこの方の続き物は「そういうものだ」、ということを頭に留めておいた方が後々の健康と幸福の為にはよいと思われます
とはいえ、
起承転結全部が変テコでありながらも、あの泣かせるエピローグで逆転ホームラン、な「ファイナルオペラ」の例もあります。
多分、単なるボンクラ以上のいかなる内実も持たないであろうマカミの正体も含めて(山田作品でこの手のキャラが一方的な思い入れに値する中身を持ってた試しがございません)、続きを気長に待ちましょう。

長槍を操るスポーティな赤いショートヘアの例外少女ウユウ、剣を操るおとなし目で紫色の髪のポニーテール眼鏡っ娘・限界少女ニラカ、鞭を操るお色気な栗色の髪の包帯娘・実存少女サヤキ、銃を操る長い黒髪に眼帯のヤンデレな究極少女マナミ・・・七話にして放送が打ち切られた筈のアニメ「クトゥルフ少女戦隊」の四人のクトゥルフ少女達は実在した。彼女達は進化コロシアムで進化の派遣を争う人類代表。しかしその実体は、ゲスでクズな榊原と云うキャスターが遭遇して行く足腰が弱った70歳の老婆、殺したてのDV夫の遺体を持て余していた地味な30代のシナリオライター、セックス好きのニュースキャスター・・・・マナミの実体はまだ明らかにされていないが、恐らく、しょっぱなで、男の為に榊原に抱かれようとしていた「わけあり」の女性だろう。
榊原の視点と四人のクトゥルフ少女達の視点、そして四人のクトゥルフ少女達の実体である女性達の視点が交錯する。クトゥルフ少女達とクトゥルフ少女達の実体は、何処かDreamlandに暮らす人々と、彼等の現世での姿を想わせる。
果たして「進化」をもたらすクトゥルフとは何なのか?進化コロシアムの戦いの行く末は如何成るのか?絶対不在少年マカミとは何なのか?
本作はラノベの要素を意識的に多数取り込みながら(時にはラノベ特有の単語を本作特有の用語として転用しながら)全く青少年向きでは無い。それどころか一般向きですら無い。そして、進化テーマのSFとして面白い!おそらくSFや科学的思考の連続に耐性の無い人は、進化を巡る概念の応酬で挫折する事は必至だ!ニコ動などでもお馴染みの賞賛用語「いいぞ、もっとやれ!」を著者に送りたい。
本作は二分冊と云ってはいるが、もっと伸びるらしいとも聞いている。だったら、もっとずっと延長してくれ!いっそ二年ぐらい半月毎に続きが出る・・・などと云う事に成ってくれたりしたら実に嬉しいのだが、少なくとも三冊や四冊程度では終わって欲しくない。兎に角、続きに期待!早く次が読みたい!

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