違反投稿の通報
392人が閲覧 2件のレス

雨間に語らいて

さざれ #158 - 18.02.04 15:34


タグ:小説小ネタ
「雨は嫌いだよ」

横から聞こえてきた声に俺は応えてやる。

「俺は結構好きだけど」

すると滴の弾ける音に混じって、不機嫌そうに「ふんっ」と鼻をならす音が聞こえてきた。
俺は雨宿りをしていた樹の枝の影から、空を覗く。
灰色の空からは絶え間なく滴が降り注ぎ、地面に到達すると、弾けて土に染み込んでゆく。

しとしと
しとしと

もう随分とこんな感じだ。
生憎と、防水性の物を何も持っていないので、ずっと同じ場所で足止めをくらっている。
先に進めないのはもどかしいが、だがこうして空から水が落ちてくる様を見ているのは楽しい。
また、空を見上げる。
この位置から見るのが好きなのだ。
自分に向かってくる滴が、普通とは違うもののように感じられ、何か惹かれる。

「お前は気楽だね」

と、また横から声をかけられる。

「悪いかよ」

否定はしない。
気を張っているのは好きではないから。

「いや……」

返された言葉が、まだ何か言いたそうで、続く言葉が気になって、俺は一旦視線を空から外すと、声の主に向けた。
そこにいた彼。
いや、彼女だろうか。
性別はわからない。
話し方は中性的だしなにせ……
兎に角それが俺の視界に入る。

「お前が羨ましいよ」

目の前の黒猫は俺を見ず、先程の俺と同じように空を仰いでいる。





これも過去の。
前回の話と同じ世界観。
今回はちょっと文章手直ししてます。
創作モチベ上げたいです。

レスポンス

くーた152 #153 - 18.02.04 19:01
お久しぶりです
相変わらず癒される文章ですはい
創作モチベ大事ですよね!
自分の場合、ただひたすらボーッとしてると突然わきます笑
スランプこわいですはい

1 件のレス

小説小ネタ 関連のトピック

さざれ #158 - 18.02.08 00:31
埋もれていた話
データ整理してたら出てきた小説(?)なんで書いたのかも、続きをどうするかも覚えてないけど、勿体ないのでここで供養を。


さざれ #158 - 18.02.04 15:34
雨間に語らいて
「雨は嫌いだよ」横から聞こえてきた声に俺は応えてやる。「俺は結構好きだけど」すると滴の弾ける音に混じっ…


さざれ #158 - 18.02.01 14:06
狭間に現
遠くに大きな月が見える。大きすぎて空には収まりきらない。薄紫の明け方のような空色にうっすらと地平線が見…


さざれ #152 - 18.01.23 23:23
紡ぎ人
「潰えた世界に再び灯火を」それは神をも恐れぬ所業。「僕にとってこの世界はとてもとても愛しい全て」消え行…


» 小説小ネタ 日記をもっと見る

みんなのSNS

ランキング

みんなのコミュニティ

訪問有難うございます

さざれ さんアーカイブス


» 過去ログ
「雨は嫌いだよ」横から聞こえてきた声に俺は応えてやる。「俺は結構好きだけど」すると滴の弾ける音に混じって、不機嫌そうに「ふんっ」と鼻をならす音が聞こえて…
2017 - copyright© みんこみゅ - みんなのSNS all rights reserved.