戦争体験など

　特に川本三郎と鹿島茂の話がおもしろい。
岡野弘彦の話も折口信夫が出てきたりして興味深いが。

　川本の話では、
丸谷才一の若い頃の戦争体験と自身の個性の衝突が作品にも大きく影響したということが出てくる。
「にぎやかな街で」という作品には広島原爆と朝鮮人の話、
「秘密」では徴兵逃れの話があり、
そういう知られていない作品にもしっかり丸谷才一の体験の跡があると分かる。

　丸谷の評論に、
漱石の徴兵忌避というテーマのものがある。

　絶筆になった小説は折口信夫を描くつもりだったらしい。

　鹿島茂の話では、
小林秀雄が本質的には私小説家だったという話題もある。
「樹影譚」などを通して、
丸谷のモダニストとしての特性が語られる。