制御と破壊力を持ち合せたクリムゾン

本作「ＵＳＡ」も長らく封印されていたライヴ・アルバムだが、
「アースバウンド」と共に数年前に解禁された。


「ＵＳＡ」をフィリップ翁が封印した理由は、
クリムゾン解散後にレーベルがデヴィット・クロスのパートを

ロキシー・ミュージックのエディ・ジョブソンに差し替え、
安易な選曲とリミックスで発売したためと言われている。


長い年月を経て、
フィリップ翁自身がリマスターを施し「突破口」「スターレス」などの楽曲を追加する事により、


「アースバウンド」で見られたような暴力的で破壊的、
無軌道なアドリブの応酬とは違う、


構築（導入部）〜破壊（インプロ）〜再構築（帰結）という、
壮大でモダンな音圧の美学へと進化させ、


「ＵＳＡ」は充実した第５期クリムゾンの姿をより正確に映し出すアルバムへと生まれ変わった。


約１０〜２０年の間、
フィリップ翁が過去のライヴ音源を発表し続けているので、
それらを聴いているファンには、
「ＵＳＡ」に目新しさはないかもしれない。


だが、
オリジナルなクリムゾンの系譜を把握するには避けて通れないアルバムだし、
素晴らしい内容なので未聴のファンはぜひチェックしていただきたい。