方法論としては優秀だけど哲学がない。

メンタルコントロールの具体的な方法が書いてあったのは、
特に参考になりました。

努力の方法論の一例として取り入れる価値は十分にあると思います。


ただ、
著者の人生観は良くも悪くも、
目標を定めてそれを達成するというスタイルに特化していると感じました。

本書では著者のキャリアにおける内的価値的な動機付けがほとんど書かれていません。

東大受験も首席も司法試験も国家一種もそうですが、
例えば司法試験ひとつをとっても、
社会問題を解決したいといった特段の動機付けがないまま目標として定めて、
それを短期でクリアしているように受け取れます。

優先順位の付け方（恋人は代替がきくから優先順位は下というのは驚きました（苦笑））や自己管理の方法についても非常に合理的です。


おそらく著者は内的な動機付けを離れて、
割切った形で合理的に努力ができる人なのではないでしょうか。

努力の方法論自体は特段常人離れしているとは思わないし、
反復継続を重視する正攻法だと思います。

しかし、
その背景にある徹底して合理的な価値観そのものがかなり特殊であると感じました。


いいかえれば、
目的を達成するための方法論としては優秀だけど、
それを支える哲学がないのです。

現代はそういう生き方が求められているのかも知れないし、
ノウハウ本としてはそれで十分なのかも知れませんが、
少し虚しさを感じます。