2次私大化学対策に有効な書〜良質な標準問題を精選

問題1ページに解答・解説（別冊）数ページで１問を構成、
使いやすい演習書。

照準は2次私大向けで、
センター試験化学のレベルを上回る良問が並ぶ。
センター対策書がセンター即応型の基礎重視であるのに比べ、
この本は基礎重視には変わりないが、
問題の選び方、
並べ方、
括り方、
解説の要領のよさ、
途中経過の処理過程における化学特有の計算違い（モル計算に伴って反応物が逐一認識する全体量が流転するなど）を防止するための懇切なポイント指摘（流れの中で定量化のコツを指摘している！）など、
随所に工夫が凝らされた、
類書に少ないしっかりとした編集方針のもとに作成された良書だと思う。

近年、
高校教育カリキュラムの統合再編によって、
現在新課程への移行措置がとられている中選択者は、
従来の学習方法でよいのか、
基礎と応用の関係は変わっていないのか（化学基礎・化学という二段重ねであることから）、
などと悩ましいと思われるが、
この本はそんな悩みにもこたえてくれ、
問題を演習する中で基礎と本体の関係も分かり、
理論、
無機、
有機の3本立ての中で、
構造、
反応、
立体変更、
分子設計、
という4次構造との対応づけがおのずと成されてくるように見受けられ、
またそのように本書は構成されている。

あまりカリキュラム変更を気にすることなく、
化学のツボを押さえた要領の良い勉強を、
高校教科書や本書あるいは関連する他の参考書などを併用しながら進めてゆくことで、
立体的な化学ワールドが眼前に広がり、
イメージ豊かな展望も拓けて来るだろう。
そうした世界は化学進化とも相俟って、
地球生態系や宇宙物理への視点をも生み出す。
化学はサイエンスの基礎として、
なめらかな界面を提供するもの。
有機炭素をコアとした結合生成変更の過程をダイナミックに把握しましょう。