歌、演奏、音質ともに最高のクオリティ

アコースティックギター１本だけをバックに、
絶妙のヴォーカルを聴かせてくれる。

彼女の柔らかな声の魅力、
秀でた歌唱力を味わうのに、
最小にして最高の編成であろう。


Like A Lover の冒頭でギターの第一音が鳴ったとき、
一瞬にして部屋の空気が澄み渡った。

そして静寂の中から、
等身大のウィリアムス浩子が現れる。

その音の鮮度、
生々しさは、
もはやＣＤを聴いているという感覚ではなく、
二人が目の前で演奏しているとしか言いようがないリアリティ。


２曲目Again のコケティッシュな歌い方がかわいい。
声が消え入る瞬間や、
吐息、
ブレスにドキッとする。


３曲目Moon Riverでは、
馬場孝喜が特別なクラシックギター（河野ギター）の深々とした音色を披露。

美しいギターソロ、
ワンコーラスのあと、
ウィリアムス浩子の静かなヴォーカルがそっと寄り添う。


続く In My Life は、
さりげなく始まった歌と演奏が、
徐々に一体となり、
やがて穏やかで心地よいグルーブ感を醸し出す。

１つの部屋で息を合わせて録ることの意味がまざまざとわかる、
大好きなトラックだ。


ラストの Corcovadoで、
まず耳を奪われるのは日本語の美しい発音と発声。

シャンソンのような日本語歌詞に続いて、
ハイブローなギターソロ、

そして馴染み深い英語の歌詞が聞こえてきたとき、
得も言われぬ高揚感を覚える。


原曲のメロディを崩さず忠実に、
また歌詞を深く理解し丁寧に歌うことで、
ワンアンドオンリーの個性を表現できる稀有なジャズシンガー、
ウィリアムス浩子。
その魅力をありのままに最高のクオリティで聴ける、
いとおしい愛聴盤がまた１枚。