猿の手から解放された18歳乙女駿河の心のような優しく綺麗な本

綺麗な本です。
花達が咲き誇ったヒロイン本シリーズの終尾を飾るのにふさわしい華麗な一冊と言えましょう。

過去のヒロイン本のような「一風変わった独自性、
ネタ性」は抑えられ、
「花物語」で先輩達が卒業した後、
猿の手からも解放され、
自分の素の部分が静かに育って花が咲いていく女子高校生神原駿河の美しさをそのままに表した綺麗な本です。
表紙で本を読んでいる3年生になった駿河が寝転んでいるのは自室のＢＬ本の山の上ではなくカラフルで柔らかな色の百合の花々の上。
全頁がこの明るく柔和なパステル調の色合いでデザインされています。
ページ数も頁の端にカラーバーで大人しく表記されていて、
調和のある、
眺めていると心が優しく落ち着いていく素敵な本です。

巻頭の西尾維新書き下ろし短々編「ろうかゴッド」は貝木の語りによる沼地花に一言文句するお話。

その後、
各物語での神原、
人物相関図、
設定画集、
阿澄佳奈さんと日笠陽子さんの「花、
日傘キャストコメント」、
ＯＰとＥＤテーマ曲についての作曲家、
作詞家、
歌手のコメント＆ウエダハジメEDイラストと続きます。
いつもながら造り手のキャラへの深い切り込みになるほどと思うことがたくさん。

4頁にわたる「キャラクターコメンタリー目録」がBD or DVDを見返す時にもありがたいです。
アニメシリーズ全篇31組のキャラコメの一覧と内8篇からのほんのちょっとだけの抜粋。

西尾維新氏と田中芳樹氏の小説の面白さについてのインタビューでは西尾氏が先輩をレスペクトしながら対談していますが、
特に田中氏の執筆スタイルが予想を越えるもので面白いです。

駿河版権画集は「化物語」から「花物語」までのイラスト10枚。
駿河原画集は12カット。
あらためて物語シリーズの絵の根幹は渡辺明夫さんで成り立っているのだなと感じさせられます。

最後は駿河のCV沢城みゆきさんのインタビュー「駿河の内面を見つめ直して」のフォト＋3頁。
素敵な大人に成長していく駿河に対し、
子離れできない親のように淋しく感じそうだという沢城さん。
駿河とは？を考え悩んで演じたからこその未練なのでしょう。

それにしてもヒロイン本もこれで完結かと思うと実に寂しいです。