なぜ、何度聴いても涙が流れるんだろう。

「去年はいいこと、
一つもありませんでした」。

昨年（2012年）11月、
スポーツ紙の取材の中で、
新沼さんはこんなことを言っていた。

2011年。
新沼さんの地元にも甚大な被害を及ぼした東日本大震災が発生し、
それだけにとどまらず、
新沼さんは最愛の奥さんを亡くしてしまった。

翌2012年、
制作・発売された、
DVDつきの『花は咲く』に収められている「メイキング映像」をご覧になった方の中には、
撮影中、
想いが溢れて思わず泣きそうになっていた新沼さんの姿が印象に残っている、
という方も少なくないだろう。

そんな新沼さんが、
心の中にある“ふるさと”への想いを込め、
時間をかけて自らの手で作りあげたのが、
この「ふるさとは今もかわらず」という楽曲。

母校の生徒たちを含む、
３つのグループからなる44名のコーラスをバックに、
余計な言葉も、
「もういっちょ重ねて、
ここで泣かせてやろう」なんていう計算もない、
ただ純粋で美しい楽曲を、
新沼さんはまっすぐに歌っている。

まずは2012年11月、
オリジナル・バージョンが、
マキシ『雪の宿／ふるさとは今もかわらず』として発売。

少しずつ反響を呼び、
レコード会社には「合唱用の譜面が欲しい」という要望、
問い合わせが殺到した。

明けて2013年の４月９日、
そして５月28日の『NHK歌謡コンサート』。