きつねさんではわからないかな

LLVMを実際に使ってLLVM IRから実機械コード発生まで一通りのコンパイラを自作するためのガイド本です。

日本語でのLLVMの情報はほとんど無いのでありがたい書籍であることは間違いありません。

この時点で星5はある意味当然といえるでしょう。


これはガイドブックの名の通りLLVMというコンパイラ基盤はどういう風に使えばいいのか？
ということについてかなりわかり易く書いています。
（但しC/C++が分からないとダメですけどね）
そのため，LLVMの内部実装については言及していません。


この本は自作言語を造るんだ！そんでもってLLVM使うんだ！ぐらいのニッチな人向けな気がします。

しかもコンパイラに必要となる知識については気持ちいいほどにバッサリと記載されていません。

いわゆる分かっている人向けです。
いいんです。
LLVMの使い方を説明しているのですから。

もちろんそれに対する配慮として，本文中にもコンパイラの前提知識が必要になる旨は書いてあります。


これ一冊で自作のコンパイラを造るのは無理に近いです。

言語処理に興味を持った方はまず別のコンパイラ入門本を一読してから読むべきです。

そうしたほうが挫折する危険性も少ないでしょう。

副題はいかにもコンパイラ作れるぜ！的なノリですのでちょっと過大かなということで星-1にしておきました。


とはいえ良書であることには違いがありません。

コンパイラ屋さんでLLVMに興味を持っている方が手に取ったらおもしろいだろうなーと思います。