輪廻の存在を肯定しないことで、現代人への普遍的な教えとなる

本書の著者、
佐々木 閑氏は若いころは科学者として研究しており、
合理的なものの捉え方をする方のようである。


本書は、
ゴータマ・シッダッタのoriginalの教えに近く、
世界的にもっとも広く読誦されている経典「ダンマパダ」、

日本語タイトル「真理のことば」を紐解きながら、

ブッダの教えの原点のエッセンスをやさしく説明している。


「真理のことば」は、
キリスト教で言うところの聖書にあたる書物であり、

ブッダの教えの中でも最も重要なものとして世界中で愛読されているが、
実は日本に伝わったのは大正時代で、

その事も含め、
日本の仏教はブッダのoriginalの教えと、
かなりかけ離れたものになっている。


「真理のことば」は、
仏教をよりどころとして生きようとする人々が、
どのような心構えで、

ものを見、
考え、
悟りの道を進んだらよいのか基本的な指針を記した書であるが、


残念なことに、
プライマーなしで、
そのエッセンスを読み取ろうとして読み始めると、

聖書のように物語性を有していないので、
何とも退屈で、
通読できず挫折してしまうのではないだろうか。


この本は、
平易な言葉で、
ブッダの教えのエッセンスを説明しており、
万人が簡単に理解できるようになっており、

これから「真理のことば」を実際に手にして、
読み、
唱えようとする人にとって助けになると思う。


私自身、
佐々木氏の解説するところのブッダの教えで、
特に納得がいったのは、

佐々木氏が「輪廻」という概念を現代人が受け入れることは難しいということを理解したうえで解説を加えている点である。


そして、
「輪廻」という概念をスッポリと外しても、
ブッダの教えが成り立つという点にこそ、

教えの斬新さと、
普遍性と、
厳しさがある。