対象が時代劇のビギナーなのに、選択されている作品に少し問題があるのでは！！！

　著者の春日太一さんは、
過去、
時代劇に関する本を多数著されていて、
ついこの前「なぜ時代劇は消滅するのか」（新著新書）・・・
　レヴューしています・・・を刊行されたばかりです。

　そのような関係から、
どのような時代劇を見るといいのか、
と聞かれることも多いようです。
しかし、
時代劇が衰退している昨今、

　TV地上波で、
時代劇に触れることが極めて少なくなくなりました。

　一方、
DVD,名画座、
BS,CS・・等で観ることのできる時代劇は多数あり、
どんなものを観ればいいのか、

　ビギナーには分りにくい状況にあるようです。
そこで企画されたのが本書というわけです。

　全体は、
　第1章：これだけは押さえておきたい40本　　第2章：隠れた名作40本　　第3章：個人的な趣味で選んだ20本
　に大別されていて、
各々の作品にデータ、
春日さんの解説が付されています。

　100本の選択された作品を通読し、
感じたことですが、
自分の好みに合う、
合わないははさておいて、

　TV作品が多いなというのが実感です。
邦画の低迷で、
時代劇があまり製作されないようになり、
それを埋めたのがTVですから、

　これは致し方ないのかもしれません！！　しかし、
本書の対象は時代劇のビギナーとまえがきに書かれています。

　それならば、
「徳川いれずみ師　責め地獄」、
「徳川セックス禁止令　色情大名」、
「女獄門帳　引き裂かれた尼僧」
　の選択はいかがなものでしょうか！！そして、
巻末に作品のインデックスが付いていて（これ自体はすごくいいと思います）、

　これにはソフトの有無も記されています。
しかし、
なんとソフトのない作品の多いこと！！
　それらの作品は、
名画座、
BS、
CS　等で探せということかもしれませんが、
本書の対象はあくまでビギナーです。

　それなら、
戦前の作品に対象を広げたら、
赤西蠣太、
人情紙風船　等、
超が付く名作がありますし、

　人気作、
旗本退屈男、
若様捕り物帳、
鞍馬天狗、
のようなシリーズものを挙げるべきではなかったかと思います。

　というような理由で、
☆2つ減じています。