「イスラム協力機構（ＯＩＣ）」加盟諸国の概観.

本書のタイトルは『イスラム５７か国の実像』とあるが、
その『５７か国』の選択基準は、
「イスラム協力機構（ＯＩＣ）」（国連等がオブザーバーとなっている国際機関）に加盟している国家（地域）を対象とするものである（「はじめに」・29〜31頁ほか）。
従って国家・国内のイスラム教徒の多寡や国家の宗教事情に依るものではない。
典型例として、
少なくないイスラム教徒の国民を抱えながらＯＩＣに加盟していない中国（世界１０位）やインド（世界２位）等は本書の対象にないが（17〜19頁）、
逆にイスラム教徒の人口割合が「１％」というガボン（ＯＩＣ加盟国）が取り上げられている（216頁）。
このページの上の「商品の説明」には、
「イスラム圏の社会情勢や経済動向……時事的なニュースでは窺い知れないイスラムの実情を正しく知るための書」とあるが、
イスラム教徒の数が世界人口の１／４（１６億人）と言われる現在（17頁）、
かかる観点からなかなか伝わりにくい「日本との関係、
報道ではわからない“素顔”」を、
タイムリーな政治・経済・国内事情等を織り交ぜてメリハリ良く纏めていると言えよう。
本書の構成・内容は、
同前「登録情報」最下段の「目次を見る」に概略があるので、
特に本稿では取り上げない。
ただ第１章の「イスラムの基礎知識」だけでも、
スンニ派、
シーア派、
他宗派の相違や沿革、
教義（ハラール認証ほか）、
対立構造などの基本知識が図表等で解説されており（22〜28頁ほか）、
私のような素人には判りやすい構成である。