堅実に書かれた本であるが・・・・・・

　この本の著者は、
ＮＨＫや民放でニュース番組の制作に携わってきた人であり、
本書は著者の経歴を生かして執筆した初の著作とのことです。


　内容的には、
警視庁の専門部隊ＳＳＢＣ、
鑑識、
科学捜査研究所などの機能を紹介しながら、
それが実際の事件でどのように効果を発揮したのかを記述しています。

　本書では、
さまざまな「科学捜査」が紹介されていますが、
重点を置いて解説しているのは、
防犯カメラについてです。
私は、
防犯カメラの効果を漠然と認識していましたが、
ここまで捜査に役立つものとは思っていなかったので、
とても興味深く読ませていただきました。

　一方、
それ以外の「科学捜査」はＤＮＡ鑑定、
Ｎシステム（高速道路などに設置されているカメラ）、
指紋、
ビッグデータの活用などであり、
これまでも類書やマスコミで取り上げられてきた内容の範囲内という感じがします。
実際、
これらの部分は他書の引用が多いです。


　この本は、
相当に生真面目な印象が強い本です。
まず、
それぞれの部署の組織の構成から始まり、
その所管業務について記述した後でやっと、
具体的な話に移ります。
興味深い部分も多い反面、
相当にたいくつな感じがする部分もある本と思いました。

　事件の具体例の部分は相当に興味深く、
また、
参考になる部分がある本であり、
（警察に興味がある人にとっては）一読の価値のある本と思います。