昆虫の驚きの世界と生態・社会性の解説書.

本書はこのページの上の「商品の説明」にある通り、
「地球上で最も多種多様な生き物たちの生態……下に見がちな私たちの思考を覆す、
小さな生物のあっぱれな生き方」を、
比喩的平易に解説するものである。
その趣旨は（蟻の生態を中心にしつつ比喩的に）「狩猟採集、
農 業、
牧 畜、
建 築、
そして 戦 争から奴 隷 制、
共 生」など、
幅広いトピックで構成されている。
ユニークなのは様々な「繁 殖」などの形態で、
人間社会を彷彿とさせるトピックや比喩が面白く感心させるものがある。
「登録情報」最下段の「目次を見る」をクリックすると、
概要が表示されるが、
第１章は昆虫の多様性、
基本と定義など、
第２章は補食と植物、
擬態、
繁 殖・交 尾の形態、
営巣、
生物的機能など、
第３章は著者の専門である蟻を中心とした社会性、
補食行動、
菌類栽培、
社会寄生の形態、
争いと攻撃など、
第４章はヒトとの関わりから進化した昆虫、
感染症など、
多種多様のトピックからなる。
特に蟻の社会性については、
先行類書に『働かないアリに意義がある (メディアファクトリー新書)』等が挙げられるが、
本書の方が生物学的に詳細な印象がある。
本書の専門性は高いとしても、
解説は比喩的・平易なので広く一般読者が楽しめるものと思料される。


個人的に興味を惹かれるのは、
本書の中心でもある第２・３章である。
第２章では各種の擬態の例示と共に、
進化論的な観点から解説する（55頁以下）。
「繁 殖」行動では特異な「交 尾」形態、
雄同士の「交 尾」の意義、
雌雄逆転の例、
「交 尾