独学で東大に合格する方法を説いた好著！

　少し前に『ビリギャルが慶応に合格した話』を読み、
感銘を受けましたが、
その書物が塾講師の指導を受けながら合格したのに対し、
本書は独学メソッドで合格する体験談を述べた本であることが大いに異なります。
（１）ゴールまでの最短・最速の方法に基づいて学習する。
（２）ゴールを見越して一歩一歩前進する。
この二つのメソッドに尽きると思います。
著者は入試前の模試で数学２９の最低偏差値からスタートしました。
１年の宅浪生活を経て東大理科二類に合格しています。
しかも、
うつ病や拒食症と闘いながらの合格には見事としか言いようがありません。
浪人生活の１年間はあっという間に過ぎ去るもの。
最短ルートの探索は当然であり、
まずは赤本で過去問探究はとても合理的です。
過去問を解けなくても、
出題傾向や出題者が求めている学力を正確に把握することが学習のスタートラインに立つことです。
ここで過去問の難しさに怖じ気づいてしまったら、
著者の合格は不可能だったことでしょう。
過去問を見て、
著者は合格への道を見渡すことができたのです。
私はこの点に著者の成功の秘訣があったように思えます。
東大と京大では出題傾向が異なり、
同じ勉強方法では合格できないことに著者は気づいています。
東大に合格するための勉強法に専念することの大切さを著者は繰り返し説いています。
数年に一人は東大に合格する生徒がいるようなので、
そこそこの進学校出身ではないかと予想されますが、
独学でやり抜くためには東大に合格可能な学力を身につけられる参考書や問題集での学習を導きとするしか方法はありません。
参考書・問題集リストは著者が使用したものを挙げていますが、
他にも好著が多数あると思われます。
模試の復習も欠かせない学習です。
模試は全回受験することにより全分野の復習ができるように出題されているからです。
宅浪だからこそ模試データしか頼る客観的データはありません。
私の自己体験から言えば、
冬期講習や夏期講習を宅浪者が実力試しに参加するのはとても有意義だと思います。
真剣に努力している浪人生の姿に励まされるからです。