ＮＨＫから届けられた宝物

本作を観終って、
さすがＮＨＫとうなってしまった。
テレサ・ファンならコレクションに加えておくべき秀作である。
膨大なＮＨＫの歌番組アーカイブの中から選ばれた名曲・名演の数々。
放送日時と曲目は上の商品説明の通りだが、
特に印象深いのは、
強行日程の下、
悪い体調をおして歌い、
日本のファンの前での最後のステージとなった（１０）。
必死で歌っている様子がひしひしと伝わる。
そうなった背景は有田芳生氏の「私の家は山の向こう」に詳しいので同書をあわせて読むことを薦める。
一番の聴き所は、
着物姿で嘉納昌吉の「花」を歌う様を視聴できること。
沖縄というアジアの交差点で生まれアジアでヒットしたこの名曲をアジアの歌姫テレサが歌うことの何と意義深いことか。
ＣＤ「カバー・ベスト・コレクション」収録版とは異なり短縮版ではあるが、
曲の力と彼女の歌の力があいまって目頭が思わず熱くなる。
バックは閻魔堂（エンマ）。


本作は単にテレサの放送ライヴを羅列しているのではない。
彼女の生涯の節目・節目に空港が関わることに着目して、
彼女の生涯をコンパクトに曲の合間の数箇所で紹介する。
だから冒頭の曲に空港が選ばれたのである。
少女時代の初々しい写真に加えて、
台湾での軍隊慰問の際に狭い部屋で伴奏なしに歌う姿、
彼女が声をかけて兵士達と一緒に走るシーン、
そして台湾での葬儀の様子を動画で観ることができるのは貴重。
端正なナレーションは葛西アナ。
ＮＨＫさん、
ありがとうと言いたくなる作品である。