著者の意欲を伺える一冊

夢ゾウでブレイクする前からメルマガ取ってましたし
著者の本は全部読んでます。


あれだけのベストセラーを売ったあとに､私小説のようなこの本を
出した勇気が凄いです。


一般ウケする本ではないです。


どちらかというと「売れるかどうかは知らないが、
著者が出したかった本」
なのだと思います。


夢ゾウの影響からか、
本書をそれになぞらえて評価するレビューが多かった。


個人的な考えですが、
この本は恋愛のマニュアル本という意図ではなく
恋愛というケーススタディを使った、
著者の人生訓小説なのだと思う。


著者のコンセプトである「天才を倒す」
(才能ある人をみてがっかりするのでなく､凡人である自分がやれるだけのことをする)という視点が
いかんなく発揮された小説だと思う。


なので、
「大学生の恋愛攻略」というシーンではなく
「人生の壁にぶちあたったときの物語」というくくりで読んだ方が楽しいと思う。


恋愛においても、
ビジネスにおいても
”相手の立場になって考える”ことの重要性をキレイ事として誰もが知っているが
現実のシーンで、
心理的葛藤があるのでなかなか実践できないし、

そいった感覚をつかめない人の方が多いと思う。

これまでの著作、
「ウケる技術」や「Love論」の中でも同じコンセプトを
伝えている。


しかし本書の最大の特徴は、

小説により主人公の気持ちを読者に一緒に体験させて
コンセプトを理論ではなく、
感情で伝えている所だと思います。


本書の主人公の
「自分は傷つきたくない」という自分側に焦点を当てている状態から
「相手を楽しませる」という焦点に切り替えていく描写によって
主人公の気持ちの変化、
パライダイムシフトを追体験させることに成功していると思います。


最後に、
“青山あたりの描写が古い”と他のレビュアーが書いていましたが