安心感と存在感

　僅か3,500Cm3足らずの容積の中に、
１st「Bob Dylan」から最新作「Tempest」までの35作、
ライブ6作、
ボーナスＣＤ、
分厚いハードカバーの英文ブックレットが同梱ということで、
ほぼ一般的な範囲でDylanの全キャリアが網羅されています。

　裸のままＣＤ盤が封入されている点は輸入盤にはお馴染みですが、
意外にも紙ジャケの造りはしっかりしていて、
更によく見かける白枠のような縁取りもなく良好な印象です。
ボックスに収まった状態で42作の背中だけを眺めても結構壮観だったりします。
また深紅色基調のボックスは、
しっかりどころか、
少々の手荒な扱いもOKなほど堅牢な造りで、
全体重量ともども安心感と存在感を与えてくれます。

　プレス後に「Hard Rain」（1976）の４曲目「Oh Sister」の２カ所に音飛びが判明したらしく、
当該のディスクに加えて改善済のディスクも添付されていました。
輸入盤にしては珍しく、
クオリティチェックがしっかりなされているようです。

　「Vol.1」と銘打たれているのは、
洒落なのか、
それともオリジナル以外の企画盤のコレクションを今後リリースすることの前触れなのか、
その真意はわかりませんが、
その点を除けば、
私のような一般的なファンには一切の迷いの感じられない極上のボックスセットだと思います。

　因みに、
手もとに届いたボックスには件の英文ブックレットの対訳冊子が封入されていました。
菅野ヘッケル氏が監修・翻訳に加わったもので、
こちらにも安心感を覚えます。