今までなかったタイプの本

「経済学、
ファイナンス理論、
会計学、
統計学などの分野は現代の企業にとって不可欠」なので、
そんな「企業社会におけるよき助言者ないしは弁論家になろうと志す法律家」のための入門書みたいです（日本語版序文より）。
ハーバードロースクールの教科書として執筆されたものの翻訳だとか。


6000円近くあって一見高そうなのですが、
入門書ということで（当然、
難しい数学は使われていません）、
ミクロの価格理論・ゲーム理論、
会計学、
ファイナンス理論、
統計学等を日経文庫等で揃えようとしてもその位になりますし、
そんなにたくさんは読めないかもしれません。
加えて、
手頃な入門書が見当たらない契約理論や法の経済分析の章があるので、
むしろお得なのではないでしょうか。


内容は訳文なのですがわかりやすく、
読者の理解のために相当数の訳者注がつけられています。
また、
会計制度の記述内容を日本のものに改めるとか（あとがきより）すごい親切なお仕事ですね。


個別の分野に興味を持たれた方は、
日本の書籍の読書案内もついてるので、
そちらを参考にされるとよいでしょう。
ただ、
経済学の分野では、
なぜか一番最初に紹介されているのが、
岡田章『ゲーム理論』とか伊藤秀史『契約の経済理論』とか奥野正寛『ミクロ経済学』・林貴志『ミクロ経済学』だったりするので、
全くの入門者の人にはもっと適した本があるのではないかと思ったりします（本書がよくわからないという人は、
伊藤秀史『ひたすら読むエコノミクス』とかその中で紹介された文献とか、
上記以外にも本はたくさんありますよ…）。


あと、
338頁の注で『正義論』が「川本隆夫他訳」になってるの気になります。


いろんな分野をいいとこ取りした入門書で、
全体的に法律風味が加わっているので、
法律にしか興味なかった人に、
また、
その逆の人にもおすすめできると思います。