改訂が遅すぎる

待望の憲法判例百選改訂でした。

今回の版では、
搭載判例が充実しているだけでなく、
前の版に比べて判決文の引用部分や解説が格段に改善されており一段と良書になっております。
ただ、
百選にはよくあることですが、
解説者によって事実概要や判旨引用部、
解説の質が著しく異なります。


今回からアペンディクスが搭載されたのですが、
民事訴訟法判例百選のように後ろの方にまとめて記載されているのではなく、
その分野分野ごとに記載があります。
例えばＡ１（外国人の出国の自由）とＡ２（プラカード事件）は9事件（八幡製鉄事件）の後に記載されており、
Ａ３（ビラ張りと表現の自由）Ａ４（東京都公安条例事件）は72事件（北方ジャーナル事件）の後に記載されております。

アペンディクスはこのような記載のほうがわかりやすく、
整理もしやすいです。


ただ、
やはり改訂が遅すぎる。

もはや他の判例本（判例プラクティスなど）で対応済みの人が多いと思いますから、
改めて本書を購入するﾒﾘｯﾄはやや希薄化されているものと思われます。
判プラの編集者も宍戸先生だったと思いますし。


それから、
百選の特徴は見開き一ページに事案の概要、
判旨、
解説が記載されており読みやすいところにあったと思うのですけど、

今回の改訂では、
改訂を急いだせいか読みやすさに配慮が足りず、
奇数ページ使用の判例以降はページをまたいで概要・判旨・解説が記載されています。
そのため同じ判例についても、
ページめくりを往復しなければならないことがありますから、
前版に比べて若干使いづらくなっております。

アペンディクスはこのような見開きを調整するために挿入するなどしてほしかったですね。