社会疫学の分かりやすい啓蒙書
 病気の原因を挙げて下さいと言われると,皆さんは何を思い浮かべるでしょうか.インフルエンザや結核といった感染症の場合はウイルスや細菌などが挙げられるでしょうし,糖尿病や高血圧では食生活や運動不足,遺伝などを挙げる人が多いでしょう.これらはいずれも正しい答えですが,これで全ての原因を挙げたことにはなりません.実は,感染症であれ生活習慣病であれ,学歴,社会的地位,地域の人間関係などの社会的・経済的因子も病気の原因となりうるのです.本書の主題である社会疫学とは,社会や人間関係が健康に及ぼす影響を明らかにすること,社会のあり方を変えることで人々の健康状態を向上させることを目的とする学問です.

 病気を予防する手段として,病気が発生するメカニズムの上流(メカニズムの早い段階)に働きかける必要性が本書では繰り返し書かれています.例えば,肥満の患者を減らす対策として,肥満の人が多く住む地域に運動を促進する環境(公園や安全に歩ける道など)を整える,広告を規制してファストフードを食べることを「かっこいい」とする文化を改める,自転車や徒歩での移動を促すことなどが挙げられています.以上から,狭義の医学が生物学を背景とするのに対し,社会疫学は社会,経済,政治などにもつながる分野であることが理解できると思います.

 本書で特に注目すべきなのが,社会全体として貧困や失業が健康に悪影響を及ぼす傾向があっても,それを個人に当てはめるべきではないという主張です.本書では書かれていませんが,社会疫学の知見を個人に当てはめると,健康ではない人や社会的に不利な立場にある人への差別につながることは明らかです.著者はおそらく,個人の権利と集団の健康とが相反する場合があることを念頭に置いているのだと思います.

 少し残念だったのが,本書の記述ではどこまでが証明されている事実で,どこまでが仮説なのかが分かりづらかったことです.文献表は末尾についていますが,どの主張でどの論文を引用しているのか示されておらず,数値やグラフもあまり示されていません.ただ啓蒙書であることから,それ以上知りたい人は専門書か原著論文を読みなさいということなのでしょう.本書は統計学や疫学の専門知識を前提としていないので,一般の方でも十分理解できると思います.
命の格差は止められるか: ハーバード日本人教授の、世界が注目する授業 (小学館101新書)

その他の感想

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初期不良(AVHD-UR2.0Bとディーガの接続時)
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大人になっても読み続けたい絵本特集
3年目です。
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10日ではとても終わりません
むくのが楽しくなる切れ味
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