「抽象思考の庭」という原題のほうがいい

編集者の意向でビジネス書まがいのタイトルになってしまったようですが、
著者がはじめ考えていたという「抽象思考の庭」というタイトルのほうがずっとよかったと思います。

自己啓発本のような内容を期待して読んだ人にはがっかりかもしれませんが、
ユニークな発想、
世の中に対する深い見方が示されており、
大変面白い内容です。

一般的に、
具体的なものこそがよくて抽象的なものは「あいまい」とか「机上の空論」といった悪いイメージで捉えられがちです。

これに対して著者は、
抽象的に考えることのさまざまな効用について述べ、
そして何よりも抽象的に思考することの楽しさを強調しています。

現在飛び交っている情報は、
実はほとんどが誰かの利益に結び付く宣伝に過ぎない、
現代人は、
一見いろいろ考えているように見えて、
実は与えられた情報を選択しているに過ぎないという指摘は、
大変示唆に富んだものです。