混迷する現代に希有な一冊

愛の大切さを説く本は多いが、
どうしたら愛深くなれるのか、
その具体的な
方法論を説く本はほとんどない。
人間の光の部分を語る本は多いが、
闇の部分に
光をあて、
それをどう処理するかを示す本もほとんどない。
しかし、
現実の
人間の苦しみの解決には、
自分の闇の部分とどう向き合い、
どう処理するかが
決め手になるのではないだろうか。
そういう意味で、
この本はまさにその解決の
ための具体的な方法を示している。


　第１章には、
著者が普遍の絶対価値体系を求めてそれを成就するまでの過程が
詳しく述べられており、
著者の真理を求める命がけの真剣さに圧倒された。


　第２章以下は、
その体験を踏まえて、
私達個々人がどうしたら最終的な救わ
れを得て覚醒に至り、
その絶対普遍の価値体系を手に入れるか、
その方法論が
様々な「行」の実践を通して詳しく説かれているように思える。

　特に「自明行」という一種の内観に似た方法がこれまでのどの宗教や精神世界
の教えでも説かれたことがなく、
驚くとともにものすごく新鮮に感じられる。


　世はますます混迷を深めつつあるように思え、
いずれ誰もがこれまでの
自分の生き方を見つめ直し、
総決算を迫られる時が、
個人のみならず人類規模で
も近づいているように思えるが、

　この本は、
混迷する現代に私達の今後の生き方の方向を指し示してくれる
希有な一冊だと思う。