完成された引き算の美学

ジムでトレーニング中に音楽を聴くための軽量なプレイヤーとして購入。
安価なため何も考えずに購入したが
そのユニークな使い勝手で、
今年買った電化製品の中でも一二を争うお気に入りの品となった。


多くの事をできないところがよさだと思う。
本機は画面が無いので、
音楽を聴くのに、
わざわざiTunesで作った
プレイリストを同期させないといけない。
また容量が少ないので、
同期する曲数を絞らなければならない。

この、
プレイリストを作る、
という行為を通じて自分の音楽の聴き方を見つめ直す。
これまでは何も考えずに
iPhoneに音楽をパンパンに詰め込んでいたが、
結局聴く曲は限られていた。
選択肢が多すぎると、
結局凡庸な
選択しか出来ない、
という人間の行動原理がよく当てはまると思わされた。


改めてプレイリストを作って聴きたい曲を選んでみると、
聴くシチュエーションごとに音楽を考えるのが楽しいし
スマートプレイリストで一回も聴いていない曲を探してみたり、
再生回数や追加日で整理してみたり、
と、
自分の
ライブラリをあらためて色々と見直し発見も多い。


あたかもカセットテープを使っていた大昔、
出かけるときにウォークマンで聴くためのお気に入りの曲をダビングしたり
ドライブ前日に車で聴く曲を試行錯誤したりしていたような、
あのワクワク感を思い出した。

音楽を聴く事の楽しさを最もシンプルに実現したウォークマンの精神を今に受け継いでいるのが、
皮肉にも本製品と
言えるのではないだろうか。


２GBという容量はそんな個人使用には最適解だな、
と思う。
曲数にして200曲ぐらい。
週末に同期しておけば
その週を乗り切るには十分な量だし、
これ以上多いとプレイリストの切り替えが面倒だろうから過不足無く
満足している。
画面が無い事で電池のもちがよく、
一回の充電でぎりぎり一週間乗り切れる。
現代のウォークマンは
シンプルな操作性はそのまま、
ずいぶんとリッチになったな、
と感心させられる。


最近はどこにでも持ち出している。
引き算の美学で生活をちょっと楽しくしてくれた、
この小さい製品の優れた