『がんばらない』英語学習法の極北

　この著者は、
日本で主流とされている、
ほとんどの英語学習方法を否定しています。
その中で例外としてこの人が推奨しているのが、
『多読』『多聴』そして『使う事』です。
一貫しているのが、
『がんばらない』という姿勢。
『努力』『訓練』といった、
苦痛を感じるようなやり方は、
今すぐ止めるべきだ、
と書いています。
著者は、
日本の英語教育ビジネスの裏側の事も知っている様なので、
彼らの餌食になってはいけない、
という警告もしています。
『短期間で効率的と銘打っているが、
辛いだけで、
失敗したら何も残らないような学習法』ではなく、
『英語を体験し、
使う』という環境を作り、
体験を重ねて、
道中を楽しみながら、
ゆっくりと約３年かけて、
『まあまあ使える様になる』というレベルを目指す方法を紹介しています。


私はもちろん、
英語の学習法で悩んでいたからこの本を読んだわけですが、
この著者の方法が自分に合うのかどうか、
現時点ではわかりません。
なにしろ試すのに３年かかるので。

それでも、
「こんな方法もあるんだ」という衝撃を受けたのは確かです。
多読学習自体は、
他に推奨している人はたくさんいますが、
この人はその中でも極北の様な存在だと思います。
なぜなら、
この著者には、
『英語ユーザー』という視点があるからです。
「いつか、
英語ができる様になったらやりたい事があるけど、
今はまだ英語力が足りないからやらない」のでは無く、
今の自分の英語力でできる事、
興味のある事から初めて、
『今すぐに英語ユーザーになり、
使いながら英語力を伸ばしていく』という考え方です。
少なくとも読んでいる分には、
『ゆっくりと、
苦労しないで、
楽しく英語ができる様になる方法』に思えます。


ただ、
私個人としては、
疑ってしまう気持ちがあるのも事実です。
おそらく、
この著者や、
これと似た方法で英語が上達した人は、
英語の基礎がある程度出来ている人だと思います。
学校の英語がまったく出来なかった人には、
いきなりこのやり方では難しいと思います。
そういう人は、
基本的な文法の勉強を多少やっておく必要があるかもしれません。