「わかっている人」には良い本で「わかっていない人」には早い本

幼少から楽器に親しんでいた人、
ジャズ以外の音楽経験がありすでに「わかっている人」がジャズに転向するには良い入門書となると思います（わかっている人＝ハノンやブルクミュラーはみっちりやらされた人、
音楽を聞けば基本的な和声展開などが理解できる人、
多様なコードを概ね知っている人、
すでにジャズ以外のジャンルで音楽活動をしている人など）。


しかし「わかっていない人」には厳しい本です。

この本では序盤で2ヵ月だったか3ヵ月を目安に「メジャーとマイナーのコードネームを見たら瞬時に弾けるようになりましょう」という2ページ（たったの2ページ）の項目があります。
詳細な解説があるわけでもありません。
ただＣからＢまでのメジャーとマイナーコードが記載されていて「2、
3ヵ月かけて覚えてね」と言われても途方に暮れるばかりです。
自力で覚える方法見出してね、
ということなのか、
練習メニューは自分で考えてね、
そんなこともわからないようならやめといたら？ということなのでしょうが「それを知りたいんだよ！」と思わなくもないです。

このあたりは著者（とリットーミュージックの企画として）の「コンセプト」かと思われます。


つまるところ、
そういうレベルの人にはもっと先にやるべきことがあるということです。

ピアノというか音楽に素地があり、
且つ、
3年かけて（！）ジャズのスタートラインに立つための本ですので「趣味で音楽始めたい、
ピアノ弾いてみたい、
ジャズが好き」というレベルの人にはこの本を開くために「さらに数年」の事前準備が要る感じです。


裏コードとかテンションなどジャズ的な要素を（みっちり時間をかけて）学んでいくには良いと思います。

努力の仕方、
練習メニューの組み方、
長期計画の立て方などなど、
ピアノという楽器のノウハウを「知っている人」には星5つだと思います。


ちなみに私は「わかっていない」側の人間なので星1つとしたいところですが、
それではフェアでないので4つ付けておきます。


【追記】
YouTubeに「平戸祐介の1から始めるジャズ・ピアノ」という教則映像シリーズがあります。
15分前後の動画が21本ありますのでかなりのボリュームです。