素人主義的な立場で素直な分析

　先達て同著者の本を読んだので関連して続けて読んでみました。
主張は前著と基本的には変わらない、
文化財の利活用と観光立国化を促すものですが、
今回はより詳細に質や内容などに立ち入ったものとなっています。
著者は日本文化に理解や造詣は深いものの、
基本的には素人主義的な立場で素直な分析を加えていて、
非常に好感が持てました。
変な若手育成の研修や補助金よりも質を問うことで産業育成に繋がりが出るという点は目から鱗で非常に興味深かったです。
質を問う部分では、
京都の漆器の大部分が中国産の漆を使い、
場合によれば塗りも海外で行っているのに京都ブランドとしてまかり通っているという例を引いて、
文化や伝統を付加価値として勝負したいならきちんと質を問う必要があると述べられていて、
年来個人的に疑問に思っていた、
生産地は区々でも加工したのが宇治であれば宇治茶を名乗れたり、
漁獲地が違っても水揚げしたのが有名漁港ならその名前を冠するることが出来ることと同様の事が書かれていたので、
こちらとしては非常に腑に落ちる書き方をされていたので、
個人的には内容理解がしやすい読み物でした。