狐の事はもちろん、とりまく時代の流れも感じることが出来る良書。

竹田津実氏の集大成と言える写真集です。

単なる写真家視点ではなく、
獣医師としての視点・共に狐と生きた人生観から
執筆されており、
絵面が綺麗なだけの写真集とは一線を画す、

読み応え・見応えのある写真集です。


現代の倫理観から見ると「…おや？？」と感じる写真も何点かありますが、

それは当時の記録として、
一昔前の大らかな雰囲気を感じることが出来ます。


狐の生態に関する事柄も、
とても詳しく書かれています。

私は狐の専門家ではありませんが、
動物関連の職業に携わる者として共感できる点が多く、
新しい発見も沢山本書で見つけました。

動物関連の職業を志す方へもお勧めしたい本です。


ここからは愚痴になってしまいますが、
ここ最近はやれ「SNS映え」だので
絵の綺麗さだけ。
面白画像なだけの薄ぺらい写真集ばかりで、

動物をタダのネタや素材として考えてる写真集で溢れかえっております。

古い考え方だと笑われるかもしれませんが、
「写真集は撮影者と被写体の生き様が見えるもの」だと思っています。

本書や竹田津実氏の他作品群はまさに「生き様」が見える素晴らしい作品です。