天才は捕まらない〜Genius on the run!

エジプトステーションはポールの音楽史の中でも最高の部類の作品でしょう！今回ポールとしてはかなり長い5年というブランクで曲も相当ストックがあったんじゃないでしょうか。
その辺をグレッグカースティンが良く厳選して、
いつもの予定調和で終わらない、
かなり幅の広い、
そしてポールのやんちゃな天才ぶりを感じさせる曲を多く収録させる事に成功してる気がします。
どの曲もよく練られているし今までにあったパターンの延長曲でも新鮮に聴かせる施しがされていると感じます。
ポールの持ち味であるマイナーとメジャーを行き来する曲展開はI don’t knowやhappy with youで成功しているし、
変な気負いが無い分スッキリと聴けます。
その辺を一本調子と評されている人もいますが。
またポールのやんちゃぶりはDespite〜やメドレー形式のHunt you〜で全開！こんな曲展開はすっかりジョンの影響、
Happiness is warm gun辺りからですが、
目まぐるしい転調、
リズムチェンジ、
セブンスの多様など最新型ビートルズという見方も出来るかもしれません。
又今回は素晴らしいリックが溢れており聴き手を飽きさせません。
ボートラのGet startedサビのギターリックの美しさやBack in Brazil の主題となる2小節のリックなどあらゆるところに主旋律を縫うような横糸がはりめぐらされているのに気付きます。
そしてそれら全てがエジプトステーションの奥行きをしっかりと作っています。
ポールの声、
ライブによる酷使と声質の劣化を書いておられる方も多いですが、
少なくとも現代の技術ではそんな心配はないでしょう。
僕はこの盤ではシャウターとしてのポールも好きですが、
Dominoesなどで聴けるファルセットのボーカルに微妙な感情表現=揺らぎの様なものを感じて感銘を受けます。
これは明らかに年齢と関係があるのでしょうが、
多くの方が書いているように76歳とは思えない若々しい表現やチャレンジにひっそりと隠れた真実のポールとでも言えるような姿に感動を禁じ得ません。
何にせよこれだけキレのある新鮮な楽曲を嬉々としてリリースする姿はボブディランなどと並んで正に怪物、
天才の極み。
まだまだやり続けてくれ、
ポール！そして私たちに生き続ける、
探求し続ける事の素晴らしさを証明して欲しい。
Go Paul Go!!

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