垣間見える現実とイリュージョン

美大浪人として上京するという構図からして、
一生にそう何度も起きないことです。

ここに書かれていることの中には、
実際に起こったこともあるでしょうが、
その一方で甘酸っぱい想像もあるのでしょう。

時代背景として、
高度成長期終盤で日本社会がまだまだ粗野な時代。
戦後30年ほど経って、
『日本全土よいこ教育』が浸透し始めるころ。
新ジェネレーションが『それなり』の常識を備え、
面白くない時代への突入を予見させます。


純が、
最後の動物的世代として、
子供から大人に変わっていく時を生々しく描写しています。

最後に残る、
徒労感を帯びた空気は、
実にシュールです。