いろいろな数学の問題に挑みたくなるような好著

著者は難問に挑むことの意義を強調する。
「受験勉強ではパターンをおぼえ、
機械的に的に素早く処理する。
既出パターンの当てはまらない問題はどうせ、
他の多くの生徒も解けないのだからハナから捨てる」という受験戦術の弊害について語る、

自分の頭で考える力をつけなければ、
本当の数学の魅力もわからないし、
実際に生き抜く力にはならない。
と説く。

この本では第１章、
「規則性の発見の仕方と具体化の方法　」第２章「着想の転換の仕方」第３章「柔軟な発想の仕方」
第４章「使うべき道具（定理や公式）の検出法とそれらの活かした使い方。

となっていて例題、
練習問題に全て詳しい解説が書かれてあるが、
単なる「解き方」だけではなく「考え方」が強調されている。
著者も言うようにポリアの「いかにして問題を解くか」が意識されている。
問題は受験問題や、
数学オリンピック、
米国のパットナム問題集などから興味深いものが注意深く選ばれている。
高校３年生までの知識は一応持っているが数学的センスに恵まれない普通の読者が難問を解く力を獲得することを狙った好著であると思う。
著者は受験生を頭に置いて書かれているようだが、
大学の授業について行けない大学生、
中学、
高校、
塾などの教師や数学に興味のある一般の社会人、
数学で脳トレをしたい高齢者にもお薦め。