読みやすくコンパクトなのに盛りだくさん！

カリフ制の基礎知識がない状態で読みましたが、
カリフ制の概要・ポイントを押さえることのできる本でした。

分厚くなく、
文章も簡潔で読みやすいです。
しかし、
この1冊の中に含まれている情報量はとても多く、
「濃い」本だったと感じました。


構成も、
「カリフとは何か」から始まり、
「イスラーム学とカリフ」、
「カリフ制の歴史的変遷」でカリフの基礎を学び、
「現在イスラーム運動」、
「カリフ制再興の現在」でカリフ制の現状について知っていくという分かり易いものでした。


さらに、
カリフの定義・歴史・現状をまとめるだけでなく、
「カリフ制再興の文明論」、
「カリフ制と人類の未来」では、
現在世界が抱えている西欧イデオロギーに基づく領域国民国家（人による支配）の諸問題を超えていくものとして、
カリフ制の可能性がわかりやすく提示されています。


イブン・タイミーヤ、
アール・アル＝シャイフ、
サイイド・クトゥブなど、
イスラームから政治を考える上で大切な方々の考えや主張も概説されており、
とても勉強になりました。


ここを出発点に、
平和的に実現可能なカリフ制再興運動やカリフ制についてさらに学んでいきたいと思いました。