”ゴールラインは存在しない”

今、
ポートランドはアメリカで最も住みたい街に選ばれ、
移住者が殺到しているらしい。

日本でも、
ポートランド発のライフスタイル誌『KINFOLK』が数年前からブームになっている。


ナイキ創業者のフィル・ナイトはオレゴン州ポートランド生まれである。

そして、
西海岸の北部に位置するオレゴンは開拓者らの終着点だった。


彼の恩師であり、
ナイキの共同創業者であるビル・バウワーマンは、

ここまで辿り着いたオレゴン人のDNAに宿る精神を端的に表す。


"臆病者が何かを始めたためしはなく、
弱者は途中で息絶え、
残ったのは私たちだけだ"

アメリカは、
Amazon、
マイクロソフト、
GEなど地方都市に本社を構えるグローバル企業が多い。

ナイキも、
創業の精神を守り抜くために、
グローバル企業に成長した現在もオレゴン州ポートランドに本社を構えている。

（ちなみに、
ポートランドのスローガンは、
"Keep Portland Weird"である。
）

フィル・ナイトは、
受け継いだ開拓精神で、
さらに東、
日本までやってきて、

日本製のランニングシューズをアメリカで売ろうという『馬鹿げたアイデア』のために突き進む。

彼は、
スタンフォード大学でMBA取得、
公認会計士のエリートなので、

自分の『馬鹿げたアイデア』のために、
生きていくことに葛藤を抱きながらも、
走り出したら止まらなかった。


本書には、
多くの日本に関する記述が登場するので、

日本のために特別に編集されているのかと勘違いしてしまうほどだ。

個人的には、
日商岩井（現・双日）のイトーの活躍は、
本当に痛快なシーンで、

是非ともスクリーンで見たいと願う。


バルミューダ代表の寺尾氏ではないが、
「おれはもうナイキしか履かない！」
と大声で言いたくなるほど面白い本である。