誰得(俺得)

前半のon the trainは「神のみ」終了後に近鉄が開催したキャンペーンラリーの紹介マンガと追加少々。
後半の「パイロットフィルムズ」は作者の連載デビュー「聖結晶アルバトロス」、
出世作「神のみ」、
そして現在連載中の「なのは洋菓子店のいい仕事」のそれぞれ原型となった読み切り各1本に、
作者がどのように考えてその物語を作ったのか、
作者自身による解説が付されている。

前半は近鉄のラリーをコンプリートするくらい「神のみ」と電車に興味がある人間(私だ)には面白いが、
それ以外の人には食い足りないか理解不能と思われる。
後半は、
古い作品の絵柄が違う等は初期短編集に付き物だからよいとしても、
絶対的にボリュームが足りない。
「神のみ」原型の「恋して!? 神様!!」はたしかに単行本には初収録かも知れないが、
サンデーには「超」を含めて二度掲載されており新鮮味がないので尚更だ。
値段も内容も中途半端だと言わざるを得ない。
on the trainだけで一冊出せないのは当然なので、
いっそ「アルバトロス」や「神のみ」の連載時の抜粋も交えて解説もがっつり増やし、
1000円くらいで売り出した方がかえって満足感があったのはないか。
6年続いた人気コンテンツが、
菜種かすを搾るように扱われているような気がしてファンとしては寂しい。


特殊条件にもろに当てはまった私は意外と満足してしまって☆4つだが、
ラリー参加者か若木民喜の大ファン以外にはおすすめはしない。