原作超えはならず

タイトルや前書きからもあるように、
ある種池波正太郎の名著である男の作法の二次創作です。

何十年も前の文人の作を現代の漫画家がリスペクトし再構成した本作ですが、
残念ながらよくある自己啓発本で終わってしまっています。


粋や美学といったものはある種文字に起こして説明することそのものが粋でないわけです。

男の作法ではそれが実に自然に読ませる文章で臭いを消しきれいなものとして包み込まれていたのですが、

本作ではそれに及ばず何とも言えない作者が美学を押し付けるような生臭さが残ってしまっています。

島耕作のファンが作者の美学を知りたいとして読むならそれも味となるのかもしれませんが、

一冊の本として男の作法と同じまな板に乗って評価されるには力不足に感じられました。