２００２年出版の著書

このところ幕末維新関係の書を退職後まとめて読んできた。
一坂氏の書は「司馬遼太郎が描かなかった幕末　松陰・龍馬・晋作の実像」 (集英社新書)が近著では、
読み応えがあった。
それをきっかけにさらに数冊読んでみたが、
この書は私にはあまりインパクトがなかった。
指導者層の采配に興味を強く抱くほうなので、
その点、
この本はどの階層からも参加したような動きであるだけに、
元士族であった人物等のほうが後に活躍したというような内容であり、
それはいつの時代も当然のことであるから、
驚きはなかった。


同じ組合活動やデモ活動をしても、
後に昇進する人としない人があるのと同様だからだ。
ただ、
一坂氏は、
そういう一般階層にもシンパシーを持っているかただというのはわかった。
大事なのは、
それでも当時奇兵隊への入隊自体に階層によって禁止されたというような話しはなかったという点は忘れるべきではない。
女子供は加えるのに、
一般の農民などが会津城で一緒に戦ったというような話しはないのだから、
その差は歴然としている。
戊辰戦争で戦ったのに、
後で仕事に就けなかったというような話しは差別とはいわないだろう。
実力がある人が引き続き活用されたであろうというのも当然のことだろう。
歴史事実を丁寧に点検しており、
その点ではいい資料内容をもつ本だと思う。