小品ながらも、ポリフォニー音楽の面白さがひかっています。

この曲集は、
ピアノレッスンの初期段階の内容を考え、

ほとんど２声からなる曲を集めたものです。


子ども向けの教材ということですが、

ピアノレッスンで「複音楽」の教材を扱う必要性や意義として、

各声部の横の流れと和声的な縦の響きを聴き分ける耳を育てること、

ニュアンス・ムードという感覚的な内容を体得し、

同時に弾奏をコントロールしてゆくメカニカルなテクニック等、

演奏に関する各要素に慣れマスターすることが目的です。


著者は、
この目的を達成して行く意志の働きがあってこそ、

複音楽の教材を扱う意図に沿うことも、

古典・ロマン・近現代の楽曲を豊かに演奏する可能性もひらけてゆくと言っています。


子どもだけではなく、

研究心を持った大人が、

何度も何度も基礎に立ち返ることがあってもいいと思います。


この曲集は、
その願いをかなえてくれる優れた教材だと思いました。

お気に入りです。