新たな方向性を提示できるか。その試金石。

自分はI’veのアルバムでは1st、
2nd、
7th等の優雅でぬくもりのある旋律を持つ
楽曲が多く収録されたアルバムが好きで、
今作についても家に届くまでは
どのような仕上がりになるのか、
いくらかの不安を持っていたのも確かです。


しかし、
この予想は思わぬ形で裏切られ、
『ALIVE』はI’veの『新しい方向性』を
まだ完全ではないものの、
ある程度は提示することに成功しているのでは
ないかと思いました。


それは若干雑な言い方となりますが、
これまで分離しがちであった鋭く切れの
ある楽曲と、
やさしく繊細な楽曲の統一の可能性が示されていると思えたからです。


その最大の理由は、
I’veの個々の楽曲が持つ、
内部の強固な安定感のある
骨格が、
これまでの様に分離した形ではなく、
双方の楽曲の形態に
うまく適応した形で内部で再構築され、
そして無理なく自然に拡散するように
表れているように思えるからです。


電子音が主体であるにもかかわらず、
音に豊かさが感じられるようになり、

初期の時に見受けられた『音がやせている』印象もなくなっています。


それにより、
今作では、
ヴォーカリストで乗り切っている、
という印象は
激減しています。


楽曲全体において、
緩慢さが感じられないというのも大きいかと思います。


これは、
『新たな方向性』すなわち、
『I’veの独自性』の進化と深化の両面に
作用していると思えます。


今作では、
今まで自分が好んでいた優美な旋律を持つ楽曲は少なく、

電子音で構築された音楽的高揚感を前面に出した曲が多く見受けられます。

しかしながら、
今まであまり好んでいなかった種類の曲であっても、
興味を持たせ、

なおかつ最後まで聞かせる強い説得力があると感じました。


これは全体的に完成度が高いだけではなく、
これまでのI’veの楽曲の完成度から
比較しても、
一段上の完成度を持つ曲もあるためだと思われます。