錦織圭選曲のヌジャベスコンピ

故ヌジャベスの6周忌の追悼になった本作品『ケイ・ニシコリ・ミーツ・ヌジャベス』は、
今や日本テニス界の寵児である錦織圭選手のかねてからのお気に入りであるヌジャベスという日本人アーティストの楽曲を錦織さん自身で選曲を手掛けたもので、
内側には錦織さんの写真（CDインフォメーションの掲載時と同一です）、
コメント、
サインが掲載の、
デジパック仕様の全17曲で77分40秒の収録時間となっています。
同盤にはハイドアウト・プロダクションから今回の発売に至った経緯を纏めた文章が添付されています。


ケイ・ニシコリとヌジャベスとの運命的邂逅をさらに知るためには、
錦織選手本人に直接聞くしかないとの結論に達し、
担当者が直ちに、
錦織選手が本拠としているアメリカ・マイアミにあるIMGテニススクールに向かった。
超多忙な生活を送っている錦織選手は、
ヌジャベスの話とあって、
わざわざ時間をとって、
ヌジャベス音楽への熱い想いを語ってくれた。
同時に錦織選手自身の手で選曲を行ってヌジャベスCD制作の企画が持ち上がった。
（CD解説より）

 何と言っても今回の出来事の発端になった「ラブ（シック）」シリーズから鋭意収録されていますが、
既にヌジャベスのオリジナル作品を愛聴している方にも、
錦織さんの考えた曲順によって新鮮な気持ちで聴けますし、
単純にそれだけでここまで音の風景が一変して楽しめるアーティストも珍しいように思われます。

具体的に興味を持ったリスナーをサンプリングの原典へ誘う大らかさも彼の特筆すべき魅力でしょう。
有名な『スパルタカス』や『パリのめぐり逢い』の映画からの楽曲をはじめ、
ヨアヒム・キューン、
ファラオ・サンダース、
イヴァン・リンス、
パット・メセニー、
キップ・ハンラハン、
ホセ・フェリシアーノ、
巨勢典子、
ダイナ・ワシントンといった極上のトラックからの、
印象的なフレーズの使い方が古びることなく実に見事で、
最早ヌジャベス流に消化しているように感じられるほどの滑らかさです。
これらの美味しい要素を加味した彼のジャジーヒップホップはジャンルを横断していく心地よさに包まれています。