空間計量経済モデルの基礎を網羅

　空間データとは、
観測値が地理上の位置と対応付けられているデータである。
空間の点には順序がないので、
自然に順序が与えられる時系列データよりも分析が複雑になる。
本書は、
主に地域科学で用いられてきた空間自己回帰モデルや誤差項が空間的相関をもつ回帰モデルを説明し、
最尤法および仮説検定(６章)、
を解説している。
また、
９章では、
空間的不均一性を表すモデルを、
１０章では、
時空間データのモデリングを解説する。
本書は1988年に出版されているが、
２０１０年現在でも、
空間計量経済学で用いられる基本的モデルは変わらない。
１２章では実際の分析例も説明され、
非常に有益である。
本書では、
主に最尤法による推定で分析を行っている。
近年、
ベイズ法による空間データの分析が多いようであるが、
それに関してはたとえば、
Introduction to Spatial Econometrics (Statistics: a Series of Textbooks and Monographs)を参照されたい。