入門書とは言い難い
本書のタイトルに問題があります。
というのも「入門」というにはかなり無理があるからです。
本書の元のタイトルは「フィーリングで読むアセンブラ入門」というものだったのらしいですが、
元のタイトルの方がまだマシと言えます。
出版社が初心者を騙して売るためにタイトルを変えたのでしょう。
本書が入門書と言えない理由は大きく分けて2つあります。
理由1.実践環境がUNIX系OS限定(本書の推奨は32bit版Ubuntu。
64bit OSやCygwinでは多少不具合がある)
理由2.アセンブラのリストをいきなり提示して、
細かいことは後で教えるから分からないことがあっても読んでくれという学習方法
理由3.x86上で他のCPUのシミュレーターを動かすために簡易スタートアップと簡易システムコールラッパーを本書内で作っているが、
説明が不親切で入門のレベルを超えている。
理由1ですが、
UNIX系OSの使用方法を知っている前提で書かれているので、
この時点で何が入門なのか分からない。
最近、
CUIすら使ったことがない人が多いのにUNIX系OSの知識が前提になっている時点で入門でも何でもないでしょう。
私は CENT OS 5.10 (32bit)を使ったのですが、
本書や本書のサポートページの通りにやってもうまく行かないところがあって自己解決しないといけないところがありました。
例えば、
サポートページからダウンロードしてビルドしたクロス環境(x86系CPUで別のCPUのビルドやデバッグをする環境)のgdb(例えば、
arm-elf-gdb)を動かそうとすると、
"libexpat.so.1"がないというエラーが出て実行できませんでした。
どうやらクロス環境のgdbが"libexpat.so.1"を見つけられないので、
/usr/libにそのシンボリックリンクを作成して解決しました。
この例の場合、
Linuxの知識があれば簡単かもしれませんが、
ない人には手も足も出ないでしょう。
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