万人向きの爽やかな味わい

　マテウス・ロゼ、
何とも懐かしく愛着のあるワインでしょうか。

　初めてこのスパークリングワインのマテウス・ロゼに出会ったのは昭和46（1971）年のことでした。

　当時、
酒類を置く雑貨屋の奥の棚に鎮座していたのが独特の形状をした濃いグリーン色のガラス瓶に入ったワインで、
そこに貼られたラベルに描かれた
キャッスルの絵も重厚で深みがあり飾っておくだけでも味わいのあるものでした。


　この時、
興味を引かれて手に取るとポルトガルのマテウス・ロゼであることが解りました。

　当時のワインコーナーには、
まだ、
壽屋の赤玉ポートワインが幅をきかせる時代で、
海外のワインと言えば、
このマテウス・ロゼと瓶の下部を藁製の菰で覆
われたイタリア・トスカーナワインのキャンティ程度しかありませんでした。


　当時のマテウス・ロゼはキャップ部の鉛のシールドを剥がすとコルク栓が現れるのですが、
これがワイン愛好家泣かせで、
ワイン・オープナーをねじ込んで
いくと必ず粉々に砕け散ってしまい、
開封したが最後、
短時間で全て飲み尽くす必要がありました。

　しかし、
瓶の色とは異なり中味は微発泡のロゼ・ワインで、
やや甘めでスィーティな味わいと気軽に楽しめるため、
たちまち魅了されてしまい、
週末の深夜、

小音量で流れるジュリー・ロンドンのハスキー・ボイスと共に至福の時間が流れたものでした。


　その後、
海外ワインのブームとなり、
様々なワインで溢れるようになりましたが、
このマテウス・ロゼと菰のキャンティだけは見かけなくなり、
ネット上では高
額なボトルが散見されるだけで入手困難となっていましたが、
ここ数年、
再びマテウス・ロゼを目にするようになりました。


　従来のマテウス・ロゼと比べると、
ボトルの形状が多少変わっていること、
従前のコルクの蓋がスクリュー・キャップに変わっていること、
そして、
ラベルに描
かれた重厚なCasa de Mateusの絵が近代的なデザインに変わってしまったことが挙げられます。


　そして、
このマテウス・ロゼのBOUCHARD PERE &